予防メンテナンスとは?
予防メンテナンスは、むし歯や歯周病になる前に、プロのケアで口腔内の健康を守る取り組みです。現代の歯科医療は、できる限り治療から予防へと変わってきました。
歯は一度削ったり失ったりするともとには戻りません。優れた治療でも天然歯には及ばないため、問題が起きる前の予防が大切です。
当クリニックの予防メンテナンスは単なる歯の掃除ではありません。口腔内全体をチェックし、歯石除去、歯面研磨、フッ素塗布など、一人ひとりに合わせたケアを提供します。効率的な歯磨きの指導も行っていますので、日常のケアと合わせてお口の健康を維持しましょう。
なぜ定期検診が必要なのか?
定期検診は歯の健康を将来にわたって守るために欠かせません。「痛くないのに歯医者に行く必要があるの?」という疑問をお持ちの方もいるでしょう。しかし、歯は症状が出てからでは手遅れになることもあるため、定期検診で早期発見・早期治療することが大切です。
むし歯や歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどありません。痛みを感じたときには、すでにかなり進行しているケースがほとんどです。特に歯周病は「沈黙の病気」と呼ばれ、気づいたときには歯を支える骨が溶けていることもあります。
そうならないためには、3〜6ヶ月ごとの定期検診で、お口の健康を維持し、将来の大きなトラブルを防ぎましょう。痛くなってから通うより、痛くならないために通うことが、結果的に歯を長持ちさせる方法です。
むし歯や歯周病を未然に防ぐ役割
予防メンテナンスの役割は、むし歯や歯周病を未然に防ぐことです。病気になってから治すより、予防する方が歯にも負担が少なくて済みます。
むし歯予防では、クリーニングで歯垢・歯石を除去しフッ素塗布で歯質を強化します。初期むし歯なら削らずに再石灰化も可能です。
歯周病予防では、歯周ポケット内の細菌を除去して炎症を抑えます。定期的なケアで歯茎が引き締まり、出血も改善されます。特に喫煙者は症状に気づきにくいため、定期チェックが欠かせません。
予防メニュー
スケーリング(歯石除去)
超音波スケーラーという専用機器の振動と水流で歯石を粉砕して除去します。歯石は歯垢が唾液中のミネラルと結合して硬くなったもので、歯ブラシでは取れません。
歯と歯茎の境目や歯の裏側など、見えにくい部分も丁寧に清掃します。3〜6ヶ月ごとの定期的な除去で歯周病の予防に効果的です。
歯周ポケット検査
歯と歯茎の境目の溝の深さを測定し、歯周病の進行度をチェックします。健康な状態では1〜3mm、4mm以上は要注意です。
検査は痛みもほとんどなく、10分程度で完了。定期的な検査により、歯周病の早期発見・進行予防が可能になります。
歯磨き指導
患者さま一人ひとりの歯並びや磨き方の癖を確認し、適切な歯磨き方法をご指導します。正しい歯磨きは予防の基本で、自己流の磨き方では磨き残しが出やすくなります。
当クリニックでは、歯ブラシの選び方、持ち方、動かし方から、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方まで、実際に練習しながら身につけていただきます。
フッ素塗布(条件により保険適用)
フッ素には歯を強くし、むし歯を予防する効果があります。歯科医院で使用する高濃度フッ素は、市販されているものの約10倍の濃度の薬剤です。定期的な塗布により、歯の再石灰化を促進し、むし歯になりにくい強い歯を作ります。
定期検診
当クリニックでは3〜6ヶ月ごとの受診をおすすめしています。検診では、まずむし歯の有無をチェック。初期むし歯なら削らずに経過観察や予防処置で対応できます。
歯周病検査では歯茎の状態を確認し、レントゲン撮影により目に見えない部分の異常も発見できます。自覚症状がなくても、プロの目でチェックすることで、隠れた問題も発見できるでしょう。
PMTC
PMTCは、歯科医院で行うプロフェッショナルな歯のクリーニングです。日常の歯磨きでは落としきれない汚れを、専門的な器具と技術で除去します。歯と歯の間は、デンタルフロスで丁寧に清掃し、普段届かない部分の汚れもスッキリ除去します。
当クリニックでは、仕上げに専用ジェルを使った歯茎マッサージを行います。指で優しくマッサージすることで、血流とリンパの流れを改善します。
治療内容と期間の目安
予防メンテナンスは、患者さまの口腔内の状態により内容が異なりますが、一般的な流れは以下のとおりとなります。
1
初回(60〜90分)
問診で生活習慣や気になる点を確認します。口腔内検査、レントゲン撮影、歯周病検査を行い、お口のなか全体を把握します。その後は、歯石除去とPMTCを実施し、必要に応じて歯磨き指導も行います。
2
2回目以降(30〜60分)
前回からの変化をチェックし、歯石除去とPMTCを実施します。必要に応じてフッ素塗布も行います。継続的なケアにより、口腔内環境が改善されていきます。
3
メンテナンス間隔
一般的には3〜4ヶ月ごとが理想的ですが、歯周病リスクが高い方は1〜2ヶ月ごと、口腔内が安定している方は6ヶ月ごとなど、患者さまに合わせて設定しています。
メリット・デメリット
予防メンテナンスのメリット
- むし歯や歯周病を早期発見・予防できる
- 歯の寿命が延び、生涯自分の歯で食事を楽しめる
- 口臭予防になり、対人関係に自信が持てる
- 全身の健康維持にもつながる
- 長期的に見れば治療費の節約になる
- 正しいケア方法が身につく
予防メンテナンスのデメリット
- 定期的な通院の時間が必要
- 症状がなくても費用がかかる
費用
予防メンテナンスの多くは保険診療で受けられます。
3割負担の場合の目安は以下のとおりです。
保険診療の場合
初回(検査・歯石除去・指導含む)
3,300〜4,400円程度
2回目以降
2,200〜3,300円程度
歯周病と診断された方の定期管理
2,750〜3,850円程度
※全て税込みです。
自費診療の場合
PMTC(歯のクリーニング)
5,000〜8,000円
エアフロー(着色除去)
3,000〜5,000円
高濃度フッ素塗布
2,000〜3,000円
※価格は税込みです